耳を桜の花びらのような形にカットされた野良猫を見かけたことがありますか?
耳カットされた猫たちは、去勢・避妊手術を受けて地域猫や保護猫になった子たちです。
地域に住む人たちと猫たちが共生していくための現実的な方法とされている野良猫の去勢・避妊手術。
家で飼うことができないとしても、手術はしてあげたいと思われるかもしれません。
野良猫の去勢・避妊手術にかかる費用や、受けられる支援から術後の流れまでをご紹介します。
猫が安心して生きていけるように、早速見ていきましょう。
野良猫【飼い主のいない猫】に去勢・避妊手術をするメリットとは
野良猫に去勢・避妊手術をするメリットは、過酷な一生を送る猫を増やさないで済むということです。
野良猫の妊娠、出産、子育てには危険がつきものです。
病気や事故、殺処分という危険もあります。
去勢・避妊手術をしていない場合、そんな危険を背負う猫がどんどん増えてしまうのです。
全ての猫を保護できる施設も、何匹でも猫の世話ができるという人もいないのが現実です。
また、人間への警戒心が強い野良猫の場合は、保護することが逆に強いストレスを与え、病気にさせてしまうこともあります。
とはいえ、地域に住む人たちの中には猫が嫌い・苦手な人や、野良猫による被害を受けている人がいることも事実でしょう。
地域の人たちと今生きている猫たちがお互い穏やかに生活していくために、「これ以上野良猫を増やさない」ということが大事になってきます。
野良猫【飼い主のいない猫】の去勢・避妊手術にかかる費用は?安いところもある?
オスの去勢手術にかかる費用はおおよその相場で、5000円から2万円。
メスの避妊手術にかかる費用の相場は、1万円から3万円です。
ペットの診療費はそれぞれの病院で独自に決められる自由診療となっているため、病院ごとに費用が違います。
行きやすい動物病院をピックアップし、比較してみるといいかもしれません。
野良猫の場合には、飼い猫の場合より安くしてくれる病院も多いです。
ホームページに記載されていないことがあるので、動物病院に直接問い合わせてみてください。
飼い主さんがいないと手術を請け負わないという場合もあるようです。
野良猫の去勢・避妊手術をしてもらえるか、どのような流れでやっていくかを直接相談し、病院選びをすることをオススメします。
野良猫【飼い主のいない猫】の去勢・避妊手術には助成金を受けられることも!
野良猫に去勢・避妊手術をする場合、助成金を受けられることがあります。
大きく分けて二つのパターンがあります。
- 各市町村で受けられる場合
- 公益法人の助成事業
活用できるものがあるかもしれませんよ。
各市町村で受けられる場合
野良猫に去勢・避妊手術をする取り組みは、全国の自治体でも推進されています。
都道府県、または各市町村で去勢・避妊手術の一部を助成してくれるケースが増えています。
対象となる条件や申請方法、助成金の額はそれぞれの自治体で異なります。
住んでいる地域の自治体のホームページにアクセスするか、直接問い合わせしてみてください。
自治体によっては、申請の対象となる動物病院が決められている場合もあるので注意してくださいね。
公益法人の助成事業
日本動物愛護協会は、年に2回、全国を対象に助成事業をしている団体です。
助成金額は、避妊手術の場合は1万円、去勢手術の場合は5000円が目安のようです。
公益財団法人どうぶつ基金では、申請条件を満たした場合に全国の協力病院で使える無料不妊チケットを配布しています。
こちらでは、猫の数が多い場合や、協力病院がない場合には出張手術も行なっているそうですよ。
公益社団法人日本動物福祉協会でも、対象者に一律5000円を助成する事業を行なっています。
いずれも、予算が無くなると期間内であっても終了してしまうので、問い合わせてみてください。
また、各地で野良猫の去勢・避妊手術に関わるボランティアの保護団体もあるので、相談してみるのもいいかもしれません。
ただ、残念ながら一部に怪しい団体があるというのも現実のようです。
よく確認し、見極めるようにしてください。
野良猫【飼い主のいない猫】の去勢・避妊手術を専門に行う病院もある
大阪府池田市には「北摂TNRサポートのらねこさんの手術室」という病院があります。
避妊手術8800円、去勢手術4400円となっています。
捕獲器による捕獲の手伝いや、出張の依頼も受けてくれるそうです。
電話で直接問い合わせることをおすすめします。
兵庫県には「ねことわたしスペイクリニックKOBE」という病院があります。
避妊手術8800円、去勢手術4800円となっています。
捕獲のサポートや、送迎も可能です。
野良猫に関する問題の相談にも乗ってくれるので、相談してみてください。
いずれの病院も、状況に応じてプラスで費用がかかる場合があるということも覚えておきましょう。
他にも、野良猫の去勢・避妊手術を専門に行う病院が各地にあるので、探してみるのもいいかもしれません。
耳カットとは
去勢・避妊手術を受けた野良猫で飼い主がいない場合には、元いた場所に戻って(リターン)その地域で共生する地域猫になります。
耳を少しカットすることで地域猫の印になり、手術を受けていない野良猫と見分けることができます。
見分けがつくことで何度も捕獲されずに済んだり、殺処分の対象になるのを避けたりできるわけです。
耳カットの形は、桜の花びらの形になっていることが多く、そこから地域猫を「さくらねこ」と呼ぶことがあります。
地域や獣医さんによっては、水平にカットする場合もあるそうです。
耳カットされているのを見ると、痛そうと思うかもしれませんね。
でも、耳カットは麻酔が効いている手術中に行われ、その後の出血もほとんどないので痛みはあまり感じないそうです。
オスは右耳、メスは左耳をカットします。
避妊手術は日帰り?リリースは何日でできるもの?
野良猫の去勢・避妊手術は日帰りの病院もあれば、入院が必須の病院もあります。
ただし、日帰りの場合、基本的には自宅で1晩、可能であれば1、2週間様子をみてあげたいところです。
麻酔から覚醒しきれていない・傷口をいじって広げてしまうというリスクも考えられます。
しかし、地域猫になる子の場合、人に懐いていないことが多く、様子を見ている状態が逆にストレスになる可能性もあります。
状況を見て判断する必要があるかもしれません。
専門病院での手術の場合は、すぐにリリースすることを考えたやり方をしてくれます。
例えば、なるべく傷口を小さくする・傷口の縫合を埋没縫合にして触れないようする・抜糸の必要のない糸にする・数日効果が続く抗生物質を投与するといったものです。
一般の動物病院でも、このようなやり方をしてくれるところもありますので、相談してみてください。
猫の状態によっては入院の相談にも応じてくれるかもしれません。
また手術前日には絶食できている方が望ましいですが、難しいこともあると思います。
絶食できなかった場合も含め、前日からの入院についても、相談しておくことをおすすめします。
リリースした後も、よく観察し、見守ってあげましょう。
去勢・避妊手術後の野良猫は来なくなったりする?
去勢・避妊手術後、大抵一旦は姿を見せなくなるようですが、そのうちふらっと姿を見せるということが多いです。
ただ、他にご飯をあげている人がいれば、そちらに居ついているという場合もありますし、地域猫になったのを見て、家に入れる人もいるようです。
来なくなると寂しくもなりますし、すごく心配ですよね。
でも、きっとその猫の最善を考えての手術だと思います。
手術しなければよかったと自分を責めることはしないでください。
まとめ
野良猫の去勢・避妊手術にかかる費用や、受けられる支援についてご紹介しました。
飼ってあげたくても飼えない、でも見ているだけなのも辛いということがあるかもしれません。
どんどん増えていく野良猫をどうしたらいいかわからない、でも殺処分はかわいそうだと思うかもしれません。
野良猫や地域猫のことについては、賛否両論あり色々な考えの人がいます。
ですが、野良猫の去勢・避妊手術をする取り組みは全国の自治体でも推進されている活動です。
色々な支援や助成を活用しながら、できることをやってみてください。
そして、ご近所さんが嫌がらないようなお世話ができるように取り組んでみてください。
決して簡単なことではないですが、きっと心は穏やかになると思います。
やってよかったと思える日が来るといいですね。