子犬を迎えるのってとてもワクワクしますよね。
でもいざ迎えると、何でも吠えたり、何でも噛んだりやりたい放題…。
子犬の頃のしつけってどこから初めたらいいのか、わからない方も多いのではないしょうか?
犬と暮らす上でのルールは、子犬の時にはっきりと明確に伝えていくことが非常に大切になります。
その上でしっかりと飼い主様自身が、”犬”という生き物を理解していきましょう。
子犬の噛み・吠えをやめさせたい!まずはなぜその行動をするのかの理由を理解しよう!
子犬の”問題行動”としてよく聞くのは”吠え”と”噛み”が圧倒的に多いです。
たくさんの飼い主様が頭を抱えているのではないでしょうか。
- なぜ”問題”とされる行動をするのか
- ”問題行動”はいつからでるの?自然に治る?
- なぜ?その行動が起きるのか:噛み癖編
- なぜ?その行動が起きるのか:吠え癖編
”なぜその行動をするの”という観点から解説していきます。
なぜ”問題”とされる行動をするのか
言葉を話せない犬にとって、”噛み”や”吠え”は立派な意思表示。
犬同士では甘噛みや吠え、アイコンタクトなどを用いて会話をします。
犬同士では当たり前の行動も、それが人に向くことで”問題行動”とされてしまっているのです。
これは子犬も成犬もその仕組みは同じです。
また、人間社会の中で暮らす事を知らない子犬にとっては知らなくて当然のこと。
そういった行動とどう向き合っていくかは飼い主様次第となってきます。
”問題行動”はいつからでるの?自然に治る?
いわゆる”問題行動”が始まるのは、生後2〜3ヶ月頃が目安です。
子犬を迎える月齢が一般的に2〜3ヶ月頃なので、お迎えする最初の頃には、問題行動が見られる可能性があると思っていてください。
また自然に治ることもほとんどありません。
極稀に成長に伴って問題行動が少なくなっていくことはありますが、だからといってルール作りをしなくていいという訳ではありません。
なぜその行動が起きるのか?:噛み癖編
”噛み”には大まかに3つ種類があります。
- 甘噛み
→遊ぶ時やじゃれてる時に出やすい噛みです。
歯の生え変わる頃に歯茎がむず痒くなって出ることもあります。
攻撃性は低いですが、要求として使うことを覚えるとどんどんエスカレートしていきます。
- 試し噛み
→甘噛みがエスカレートしてきた状態を指します。
甘噛みよりも痛く、要求やわがままが強い噛みです。
試し噛みになってくると、犬の中で「人は自分より弱いかも?」という思考が生まれてきている段階です。
- 本気噛み
→食べ物やおもちゃ、テリトリーなど特定の物を守ろうとするための噛みです。
その対象は様々ですが、全てに共通しているのは”攻撃性が強い”ということ。
基本的には”唸り”や”鼻にシワを寄せる”など威嚇による前兆があることがほとんどです。
なぜ?その行動が起きるのか:吠え癖編
”噛み”と同じように”吠え”にもいくつか種類があります。
その子の吠え方によっても意味は若干変わってくるので、おおまかに分けて解説していきます。
- 警戒吠え
→これはかなり多いかと思います。
インターホンや来客に吠える、またはお散歩で人や犬に吠えるパターンです。
吠えた先の相手の反応によってはそこから”噛み”に転じることもあります。
- 要求吠え
→周囲に対して何かを要求する時の吠えです。
吠えたらご飯がもらえた、吠えたらハウスから出してもらえたなど「吠えたら要求が通った」という経験がもとになっています。
繰り返せば繰り返すほど、どんどんエスカレートしていきます。
- つられ吠え
→よく緊急車両のサイレンやテレビの音などが聞こえて吠えだすことがありますが、これを「つられ吠え」と言います。
他の犬の吠えに反応して吠えるのも”つられ吠え”の一種です。
これは人に直接何かをする訳ではないですが、遠吠えになることもあるので近所迷惑にはなりやすいです。
しつけをしなければいけない理由とその方法について
しつけをしなければいけない理由を、結論から言います。
『犬と人、種族の違う動物が共存していくためのルールであり、人間社会で犬が暮らしていくためのマナーを教えていく必要があるからです。』
そしてその責任は家族である飼い主様自身にあります。
前に書いたとおり、吠える噛むなどの行動は犬にとっては当たり前で、人に当てはめると会話や触れ合いと変わりません。
私達人間の住む社会が”人間社会”ではなく”犬社会”であれば、しつけをされていたのは人間の方かもしれません。
だからといって厳しくすること全てがしつけではないですし、甘やかす事自体が愛情ではありません。
あくまで犬は犬、人は人、その違いを認識した上でルールやマナー作りをしていく必要があります。
子犬のしつけをする時に必要なことは?効果的な方法について
子犬のしつけをする際に注意して頂きたいのは、現状把握をすることです。
現状で”問題行動”が出ていなくても、今後出てくる可能性は大いにあります。
- まずは人とのコミュニケーションの取り方を教えていく
- ”何が嫌なのか”や”どうしてほしい”をイメージしよう!
- ”甘やかす”と”愛情”は全く別物!
”問題行動”が出ていない場合はそれを目覚めさせない事を心がけ、それに沿ったしつけをしていき、予防をしていきましょう。
まずは人とのコミュニケーションの取り方を教えていく
子犬は人との関わり方を本能でしか感じていません。
1つ1つ丁寧にコミュニケーションをとりながら、やってもいい事、やってはいけない事を教えていきます。
言葉は通じなくてもたくさん話しかけてあげてください。
犬は声や雰囲気で、相手の感情を感じ取ります。
もちろんイチゴを見せながら「これはバナナ?」と聞いて「違うよ、これはイチゴ。」と返ってくる訳ではありません。
だからこそ犬との関わり方は気持ちが大切なのです。
「何が嫌なのか」や「どうしてほしい」をイメージしよう!
犬に止めてほしい行動を示す時は、その行動を起こした瞬間に伝えることが大切です。
過ぎ去った事を掘り返しても全く伝わりません。
また、「静かにしてほしい」や「噛まないでほしい」は言葉にすることも大切ですが、それ以上に大事なのは伝える側の人が伝えたい事を明確にイメージできている事です。
「なんとなくダメって聞いたから」と思って伝えても意思は全く伝わりません。
飼い主様自身がしっかり「どうしてほしいか」をイメージするだけ現実と理想の違いを認識するだけでなく、犬の少しの変化にも気付けるようになります。
まずはしつけをする前に、”どうしてこの子のこの行動を止めたいのか”をしっかり考えてみましょう。
”甘やかす”と”愛情”は全く別物!
ついつい可愛くて叱れない方、とても多いのではないでしょうか?
そうしている内に甘噛みから試し噛み、最終的には本気噛みにまで発展してしまうこともあります。
”信頼関係”も大切ですが、あくまで犬なので”主従関係”も心がけていきましょう。
と言っても難しい事をする必要もなければ、規律を作って縛り付ける必要もありません。
”主従関係”というと厳しく聞こえるかもしれませんが、飼い主様が「ダメ!」と言った事を犬が受け入れるのも”主従関係”です。
”人と人”ではなく”人と犬”なので接し方や過ごし方、モノの見え方などの感覚は全く違います。
本能的に強い問題行動が出てしまう子もいますが、人の接し方を見て勘違いしてしまっている犬たちはとても多いです。
犬たちが”本能で生きる動物”である以上、いけない事を「ダメ」と伝える事はとても大事なことなのです。
しつけを実践してみよう!:噛み癖編
いよいよ実際に噛み癖のしつけにチャレンジしてみましょう。
- 甘噛み
- 試し噛み
- 本気噛み
上記にも記載した、”噛み”の種類別に対処方法を解説していきます。
甘噛み
甘噛みは大抵の場合が”遊び感覚”なので、こちらも遊びながら教えていきます。
おもちゃなどで遊んでいる時に甘噛みが出る場合は、おもちゃと人の手の見境がないだけです。
この場合は、おもちゃのくわえてほしい場所を目の前に差し出して遊んであげて下さい。
上手にそのポイントをくわえたり噛んだりできたらたくさん褒めてあげましょう。
また、じゃれながら手足や服の裾に甘噛みをする場合は、しっかり”ダメ!”を伝えてください。
声掛けはより興奮してしまうことが多いので、甘噛みをしている目の前で強く飼い主さん自身の手を叩いて、大きな音を出してみてください。
こうして少し驚かすことで、”甘噛み=びっくりする”を刷り込み、自然と減っていきやすいです。
試し噛み
試し噛みになってくると、人の反応を見るためにやっているので、人は引かないことがとても重要になってきます。
甘噛みよりも痛いので手を引いてしまいやすいのですが、逆に犬に向かって押し返して下さい。
この時に声掛けは不要です。
人に対して噛みが出やすくなっている場合は淡々と対処します。
そうすることで、犬からすれば「この人は噛んでも思い通りにならないんだ」と感じます。
ここで日常的に関係性がしっかり構築されていれば、試し噛みも減っていきます。
ただ、ここから本気噛みになっていく事もあり、一筋縄でいかないのが”犬”という生き物です。
本気噛み
本気噛みははっきりいって素人だけで改善させるのはかなり難しいです。
少し歯がかすっただけでも切れる事もあります。
深く歯が入れば縫わなければいけなくなることも。
飼い主様自身が、”この子は本気噛みだ”と感じたら、プロに相談することも視野に入れて下さい。
ただ、飼い主様には本気噛みが出ずに、外部からの刺激(知らない人、他犬等)に出るようであれば道具による回避も可能です。
口輪やマズルガードといった顔周りの動きを制限できる道具もあるので、そういったものを用いるのも1つの選択肢です。
まずは飼い主様自身が噛まれない、噛ませない生活をしていくことで、その子自身の”噛む経験”を増やさない事に繋がります。
ですがあくまで回避にしかならないので、個人的には早めにプロにお願いするのを推奨します。
しつけを実践してみよう!:吠え癖編
次は吠え癖の解説です。
- 警戒吠え
- 要求吠え
- つられ吠え
こちらも種類別に対処法を解説していきます。
警戒吠え
警戒吠えは明確に”原因”が存在するので、しつけはしていきやすいです。
吠えの原因となる対象をじっと見ても吠えないでいさせるにはどうしたらいいか、ということが重要になってきます。
吠えるシチュエーションがやってきたら、まずは吠える前にその子の好きなものを用意して意識を飼い主様やそのものに集中させておきます。
「集中している間に、または遊んでいる間や食べている間に対象がいなくなった」という状況を経験させることで、何事もなくやり過ごす経験をしていきます。
特定の音や他犬への反応は抑えていけます。
特定の人に対しては一緒に過ごすのが1番ですが、なかなかそうもいかない事もあるはずです。
そういう場合はその人が近くにいる状況で飼い主様からおやつをもらったり、遊んでみたり。
直接関わりを持たなくても、まずは同じ空間にいることから初めていきます。
そこから徐々にその対象となる人とのコミュニケーションを取れるようになってきます。
要求吠え
要求吠えは、1番は飼い主様が犬の要求を叶えないとパッと止まります。
要求のときは、大抵が目の前で吠えていることが多いです。
まずは要求をするのがどんな場面で、何に対して要求をしているのかしっかり観察して把握しましょう。
そこがズレてしまうとお互いの言い分が噛み合わない状況になってしまうので、まずは観察をしっかり行いましょう。
そこから、先回りしてハウスにいれておいたり、別の部屋に入れたり。
観察の結果から対処は若干変わってきますが、全てに通ずるのは”要求の内容を把握すれば叶えない方法もわかってくる”ということです。
まずは目の前にいない状況を作るだけでも改善が見られるかもしれません。
つられ吠え
つられ吠えは矛先が明確にあるわけではないので、叱ってもダメだということが伝わりづらいです。
ここでとても有効なのは天罰式というやり方。
つられ吠えが始まった瞬間に、大きな音を出しハッとさせます。
吠える事に夢中になっているので大きな音でびっくりさせることによって、我に返すイメージです。
大きな音の種類はなんでもいいです。
ペットボトルにビー玉や砂利を入れて振ると、簡単に大きな音が出るのでおすすめです。
用意するのが難しければ、新聞紙や雑誌を丸めてテーブルや椅子をはたいて音を出してもいいです。
とにかく大きな音で1回で聞かせる事が重要です。
子犬が狂ったように暴れる!噛む!どうしたらいい?
子犬のしつけは曖昧に原因がわからずご相談される方が圧倒的に多いです。
犬の行動には全て理由や原因が潜んでいます。
まずは行動に対してそれらをしっかり探ることから初めていきましょう。
また一度、興奮してしまうとなかなか自分で収拾がつかなくなってしまう子も非常に多いです。
この時の犬の頭の中はちょっとしたパニック状態です。
あれこれ伝えるよりもまずは動きを止めて上げることも必要です。
”仰向けだっこ”や”クレート”を用いてうまく動きを抑えてあげると落ち着きやすくなります。
飼い主様が慌ててしまうと、よりそれに便乗してしまうので落ち着いて対処してあげてください。
淡々と接するのがコツです。
子犬のしつけをする時のコツと注意点!
子犬のしつけはやることが多そうに見えますが、コツを掴めば意外とスムーズにできちゃったりします。
最初に流れを掴むまでは大変かもしれませんが、コツコツと積み重ねて行くことが大切です。
飼い主様が自分でしつけをすることももちろん大事ですが、下記の3つは最低限、心がけていけると良いですね。
- 子犬は真っ白なキャンパスと同じ!
- プロにお願いしてもOK!
- 犬に変わってほしければ人も変わる!
意外と忘れがちなポイントなので、気を付けてみてくださいね。
子犬は真っ白なキャンバス!
子犬は良いことも悪いことも、何も知りません。
本能で動いているので、起こした行動が結果的に人にとって不都合があるだけなのです。
それを放っておくも、ルール作りをして改善していくのも、飼い主様やご家族次第。
しつけをしないこと自体は悪いことではありません。
なぜなら何も教えなくても自然と身に着けてしまう子もいるからです。
ただ、それはあくまで結果論なのでやるべきことはしっかりやりましょう。
成犬になってから問題行動が出てしまうのは、子犬の頃のしつけが不十分な事が多く、信頼関係も薄いことがほとんどです。
後から後悔のないように過ごしてあげて下さい。
子犬という真っ白なキャンパスをどう色付けていくかは飼い主様次第です。
プロにお願いしてもOK
もちろん、どうしても自分たちだけでどうにもならないこともあるはずです。
そういう時に無理して頑張ろうとしないでください。
世の中にはその道のプロはしっかり存在しています。
愛犬とこの先、心豊かに暮らしていくためにも、トレーナーさんや訓練士さんにお願いすることも選択肢として視野に入れておいてください。
また何かあった時にすぐに相談できるトレーナーさんがいると安心できますよね。
犬に変わってほしければ人も変わる!
プロにお願いする場合は絶対に丸投げにしないで下さい。
プロのもとで子犬が学んできても、飼い主様がそれをできなければ何の意味もありません。
犬のレベルだけ上がってしまい、飼い主のレベルはそのまま…犬たちからしたら理不尽極まりないですよね。
しっかり自分たちでも同じように出来るように技術や行動毎の対処を学ぶようにしましょう。
そして出来る範囲で、出来ることから初めていきましょう。
まとめ
子犬のしつけって本当に大変ですよね。
今回は”噛み”と”吠え”の2つに絞りましたが、社会化やお散歩もよく聞くお悩みです。
何事も最初からできるなんてほとんどありえません。
しつけにチャレンジする時はどうしてもできないことにばかり目が行きがちです。
ただその中でも少しでも出来るようになった事、成長した事、そういったところに気づいてあげてください。
出来ない!ばかり言われてしまうと犬たちもモチベーションが下がってしまいます。
出来たことはたくさん、たくさん褒めてあげてください。
犬との生活をハッピーにしていってください。