新しく家族として迎えた子犬に、多くの飼い主さんが思い悩む一つが「甘噛み」です。
「子犬の甘噛みはそこまで痛くないし、いつか直るだろう」としつけを後回しにする飼い主さんは多いのではないでしょうか?
実は、甘噛みは放っておくと「噛み癖」がついて、トラブルや事故をまねく危険性が高まります。
今回は、そんなしつけの基本の一つでもある、「甘噛み」について詳しく解説します。
子犬のしつけ時期はいつから?
新しく家族として子犬を迎えたら、まず最低限のしつけを教えていかなければいけません。
「トイレ」や「おすわり」など、意外とたくさん覚えさせることが多いですよね。
特に生後2~3ヶ月経った子犬は、「甘噛み」が始まる時期でもあります。
しかし、甘噛みに対して、「子犬の噛む力はそこまで痛くないし、成長していくうちに直るだろう」と軽視しがちです。
そういった間違った認識から、家中のものが壊れされてしまい、気づいたら「噛み癖」がついてしまうケースも少なくありません。
そうならないためにも、子犬のしつけはいつから始めたらいいのでしょうか?
子犬のしつけは家に迎えてすぐに
しつけはなるべく早い時期から始めましょう!
生後2~3か月経ってからが理想的だといわれています。
この時期は犬の「社会化期」といわれ、しつけを覚えさせる上でも非常に重要な時期です。
生後、数ヶ月経った頃の子犬は、まだまだ赤ちゃんだと感じられますが、実は人間に換算すると3~5歳くらいにあたります。
また犬の1年間は、小型犬で人間の約4年分、大型犬の場合は人間の約7年分といわれています。
このように、人間が思っている以上に犬の成長スピードは早く、しつけを始めるには十分可能な時期なのです。
子犬の甘噛み期間!いつまで続くの?
甘噛みがはじまる時期は、歯が生え変わる頃の生後3か月くらいからです。
そして、一般的に7ヶ月~1年までには甘噛みは落ち着いてくるといわれています。
とはいえ、成犬になれば自然に直るということではなく、飼い主さんのしつけが必要になります。
子犬が甘噛みしてしまう理由・原因は?
そもそも犬はどうして甘噛みをしてしまうのでしょうか?
実は、歯の生え変わりだけが原因ではなく、別のいくつかの理由で甘噛みをする場合があります。
- 犬の本能と習性
- 歯の生え変わり時期
- 遊び・好奇心
- 要求やストレス
- 病気やケガの可能性
ひとつずつ、説明していきますね。
犬の本能と習性
子犬が甘噛みをする理由の一つが、「本能」と「習性」によるものです。
犬は元々「狩猟本能」が備わっています。
遊びや犬同士のじゃれ合いを通して、その狩猟本能を満たそうとします。
犬は「噛む」ことで危険なものかを確認したり、知識や社会性を身につけていきます。
歯の生え変わり時期
甘噛みする原因として、まず飼い主さんがよく思い浮かぶのが、「歯の生え変わりによるもの」ではないでしょうか。
子犬があらゆるものを噛む理由は、「むずむず」や「かゆみ」を感じているからです。
この時期の子犬はどうしても口の中が気になり、その不快感を噛むことで紛らわしていることが多いです。
遊び・好奇心
自分の飼い犬と触れ合うなかで、動くものやひらひらした洋服に反応して甘噛みしてくることはありませんか?
それは実は、「遊び・好奇心」が関係しているかもしれません。
本来、子犬が成長する過程の中で犬同士(母親や兄弟たちなど)との遊びを通し、噛むと「痛い」ということ知ったり、力くらべをしたりします。
間違ったことをした場合は、母親に叱られながら、子犬はどこまでが遊びかを学んでいきます。
子犬の頃は、人間の赤ちゃんと同じように色々なものが新しく、気になってしまうのは当然です。
なにを噛んで良いのか、悪いものなのか、なかなか判断できず、そのまま遊びの一つとして楽しんでいるケースがあります。
要求やストレス
子犬は飼い主さんに甘える際に、「要求を伝える手段」として甘噛みをすることがあります。
また、「噛むとかまってくれる」と学習してしまい、噛み癖がついてしまった可能性も考えれます。
そして、もう一つの理由として、「ストレス」による甘噛みです。
近年、家の中で犬を飼われている飼い主さんがほとんどです。
そのなかでも長時間の留守番をしている子犬が、暇を持てあまして、あらゆるものを噛み散らかす姿が見られます。
刺激が少ない環境では、犬のストレスの原因の一つとなってしまいます。
さらに、運動不足が甘噛みの原因になることも…。
運動不足によって体力を持てあまし、家具などを噛んでストレスを発散させている犬もいます。
病気やケガの可能性
子犬が噛んでくる場合、何らかの「病気」や「ケガ」が隠れているかもしれません。
犬は体にどこか強い痛みがある場合、触ろうとする飼い主さんに「痛い」「これ以上触らないで」と伝えようと噛むことがあります。
突然、攻撃的になってきたり、普段と違う行動をとってきた場合、もしかしたら体の不調や心の病を抱えている可能性があります。
しばらく様子をみても変わらなければ、お近くの動物病院に行って相談しましょう。
また普段から犬の体を触って、触られることに慣れさせておくのも大事です。
しつけの基本!甘噛みの正しい対策法とやり方とは?
子犬の甘噛みの「正しいしつけの仕方」や「対策法」を知って、飼い主さんと愛犬が過ごしやすい環境作りを目指しましょう!
- 環境を整える『安全・安心な環境づくり』
- 噛んでもいいおもちゃなどを与える
- 遊んで疲れさせよう
- 噛まれたら「ダメ!」「No!」とはっきり伝える
- 対策グッズの利用
- ドッグトレーナーに相談する
ひとつずつ、説明していきますね!
環境を整える『安全・安心な環境づくり』
まず子犬を家に迎える前に、甘噛みしてしまったときにトラブルが起きるような環境ではないか見直しましょう!
- 身の回りの物(ティッシュケースやスリッパ、靴など)を犬がすぐ届きやすい場所に置かない。
- キッチンなど、危ない場所には立ち寄らせないように、柵を設けるなどの対策をしましょう。
- テレビのコード類やスマホの充電器などは感電する恐れがあり、非常に危ないです。
危ないところにはカバーをしたりして、子犬が見えないように隠して対策しましょう。
噛んでもいいおもちゃなどを与える
子犬に噛んでもいいおもちゃなどを与えて、噛みたい欲求を解消させてあげましょう。
柔らかいぬいぐみなどのおもちゃは、すぐに破壊されやすく、誤飲の可能性があるので、なるべく硬いおもちゃを用意しましょう。
ガムや骨といった、長く噛んでいられるようなおやつを与えることも良いです。
遊んで疲れさせよう
散歩や遊びで十分に運動させて疲れさせることによって、噛みたい欲求を抑制し、ストレス発散をさせてあげましょう。
一緒に遊ぶ際は、ロープのおもちゃを使った引っ張り合いっこの遊びがおすすめです。
ロープは他のおもちゃと違って、比較的長さがあるので、手を噛まれにくいというメリットがあります。
しかし、ロープ遊びが好きではない子もいます。
ボール遊びが好きな子や追いかけっこが好きな子など、犬によって千差万別なので、その子が興味を引く遊びを見つけてあげるといいですね。
最近では、中にフードを詰められるタイプのおもちゃもあり、オススメです。
犬に集中させて、脳を使わせてあげることによって疲れさせることができます。
飼い主さんは仕事などの用事で、散歩の時間や、遊ぶ時間が限られるかもしれません。
一緒に遊ぶおもちゃと、お留守番用のおもちゃを用意して、犬に飽きさせないように工夫しましょう。
時には飼い主さんから自主的に遊びに誘ったり、遊び方を工夫するでいいでしょう。
噛まれたら「ダメ!」「No!」とはっきり伝える
もし犬に噛まれた場合は、普段の声より低い声で、はっきりと「ダメ」「No」といったわかりやすい言葉で伝えましよう。
高い声で伝えても、犬は叱られていると認識できないからです。
また、伝える際は犬とアイコンタクトを取りながら行うと良いでしょう。
そして、噛まれたらすぐに叱ることがポイントです。
犬は時間が経った後に、飼い主さんに叱られても何のことを言われているかわからないからです。
対策グッズの利用
収納しにくい家具などは、どうしても子犬に噛まれやすいです。
机や椅子の脚にカバーをしたり、しつけ用のスプレーなどを使って、犬が噛みにくい状況を作りましょう。
最近では、他にも色々な対策グッズが売られているので利用してみても良いでしょう。
ドッグトレーナーに相談する
色々とおもちゃなどで対策したものの、なかなか愛犬の甘噛みが直らなくて困っている飼い主さんもいるかもしれません。
その場合、ドッグトレーナーの専門的な力を借りて、しっかりとしつけのトレーニングをしてもらうのも方法の一つです。
甘噛みした時の間違った叱り方とNG行動
もしかしたら 飼い主さんが子犬の甘噛みのしつけをする際に、知らぬ間に間違った叱り方や、行動をしているかもしれません。
- 大声で何回も叱る
- 噛んできても構わず、無視しよう
- 体罰は絶対にダメ!
- 興奮するまで遊ばせている
- しつけに一貫性がない
- 人の手で遊ばせている、噛まれやすい動きをしている
注意すべきポイントをまとめてみたので、しつけに行き詰っている飼い主さんは一度、確認してみてください。
大声で何回も叱る
叱る時に大声を出したり、大げさにリアクションを取っていませんか?
飼い主さんが大げさにリアクションを取ってしまうと、犬は反応が面白い、楽しいと勘違いしてしまい、更に噛む場合があります。
また、大きい声で叱ってしまうことで、犬に恐怖心を抱かせるきっかけになるケースもあります。
そして、何度も叱っても犬はほとんど理解できません。
逆に犬にストレスを与えることにもつながるので止めましょう。
噛んできても構わず、無視しよう
じゃれてくる愛犬に対して、可愛いと許してしまい、ついついかまっていませんか?
飼い主さんがかまってしまうと、犬は噛めばもっと遊んでくれる勘違いしてしまいます。
もし愛犬が噛んできたら、無視するようにしましょう。
体罰は絶対にダメ!
犬を叱る時に、「首根っこや、マズル(犬の鼻)をつかむ」や「たたく」などの行為は絶対にやめましょう!
こういった行為は犬に恐怖心を与えるだけではなく、お互いの信頼関係を失うことにもつながるからです。
興奮するまで遊ばせている
愛犬と遊ぶ際に、興奮するまで遊ばせてはいませんか?
興奮したまま遊んでしまうと、余計に噛む力が強くなって、更に「噛み癖」へと助長させてしまう可能性があります。
もし遊んでいる時に犬が手を噛みそうになったら、「おすわり」などの指示を与え、一旦興奮を落ち着かせてあげることが大切です。
しつけに一貫性がない
家族で飼われている家で、甘噛みのしつけに対して、それぞれの家族によって指示がバラバラになってはいませんか?
気分で指示や叱り方を変えてしまうとなど、しつけに一貫性がないと、犬は混乱してしまいます。
家族の中で、しつけに一貫性を持たるように、事前に話し合いをしておくと良いでしょう。
人の手で遊ばせている、噛まれやすい動きをしている
愛犬と遊ぶ時に、人間の手を使って遊んではいませんか?
犬は動くものに反応し追いかけて、噛む本能や習性があります。
特に子犬のうちは、まだ人の手は噛んではいけないものだと認識していませんので、手を使って遊ぶのはやめましょう。
また、犬が手を噛みそうになったら、手を引く、遊ぶのを一旦止めるなど、人間の手は噛んではいけないことをしっかりと学ばせましょう。
”噛み癖”がついてしまうと伴う危険性
頑固な「噛み癖」がついてしまうと、飼い主さんだけではなく、更なるトラブルや事故を招く可能性があります。
散歩中に、他人や他の犬にケガを負わせてしまったという事故は多く、それは決して他人事ではありません。
特に、乳幼児が近くにいる場合は注意が必要です。
可愛いと犬に触ろうと寄ってきて、乳児を死亡させてしまった事故もあります。
そして、実は犬による咬傷事故の件数は数千単位と起こっています。
噛み癖を直すことは、トラブル回避、事故防止する上でとても重要になります。
まとめ
今回、子犬の「甘噛み」について詳しく説明してきました。
犬が甘噛みをしてしまうのは、ちゃんとした理由があり、飼い主さんはこのことをちゃんと理解してあげる必要があるでしょう。
また、間違った叱り方と行動によって、実は愛犬の噛み癖を悪化させていたかもしれません。
正しい対処法やおもちゃなどを使って、甘噛みのしつけを身につけさせていきたいですね。
それはトラブルや事故を防ぐだけではなく、飼い主さんと犬が信頼関係を築き、互いにより良い生活をしていくには非常に大切なことになるからです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。